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東京高等裁判所 昭和38年(ネ)1601号 判決 1964年5月27日

控訴人(附帯被控訴人) 岩本喜見代

被控訴人(附帯控訴人) 千葉県知事

主文

一、原判決を次のとおり変更する。

別紙目録記載の各農地につき被控訴人千葉県知事がなした各売渡処分及び交換処分が無効であることの確認を求める控訴人の訴を却下する。

被控訴人千葉県知事が別紙目録記載第六の農地につき昭和二十二年十月二日を買収の時期としてなした買収処分及び別紙目録記載第八、第九の農地につき昭和二十三年七月二日を買収の時期としてなした買収処分をいづれも取消す。

控訴人のその余の請求を棄却する。

二、附帯控訴費用を除くその余の訴訟費用は第一、二審を通じこれを五分し、その二を被控訴人その余を控訴人の負担とする。

三、本件附帯控訴を棄却する。

四、附帯控訴費用は附帯控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人(附帯被控訴代理人)は「原判決中控訴人敗訴の部分を取消す、被控訴人(附帯控訴人)千葉県知事が別紙目録第一ないし第七の農地につき昭和二十二年十月二日を買収の時期としてなした買収処分並びに同第一、第三、第四、第八、第九の農地につき昭和二十九年十一月一日を、同第二の農地につき昭和三十年三月一日をそれぞれ売渡の時期としてなした各売渡処分、同第五ないし第七の農地につき、昭和二十二年十月二日をそれぞれ交換の時期としてなした各交換処分は、いずれも無効であることを確認する。訴訟費用は第一、二審を通じ被控訴人の負担とする」との判決並びに附帯控訴につき控訴棄却の判決を求め、被控訴代理人(附帯控訴代理人)は、控訴棄却の判決を求め、附帯控訴として「原判決を次のとおり変更する、別紙目録第一ないし第九の農地につき附帯控訴人千葉県知事がなした各売渡処分及び交換処分が無効であることの確認を求める附帯被控訴人の訴を却下する、附帯被控訴人のその余の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審とも附帯被控訴人の負担とする」との判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張並びに立証は、次のとおり付加するほか原判決の事実摘示と同一であるので、こゝにこれを引用する。

一、控訴代理人は、次のとおりのべた。

(1)、農地買収処分は一連の行政手続を経て買収令書の交付又はこれに代る公告をもつて終る行政処分である。この行政処分に関係する行政機関は市町村農地委員会、都道府県農地委員会及び都道府県知事であるが、買収計画は市町村農地委員会で樹立しても、都道府県農地委員会又は都道府県知事はこれを変更し又は取消しうるものである。従つて、都道府県知事は買収令書交付の時を基準として、その当否を判断し買収計画の取消又はこれを変更することができるのである。本件の如く、買収計画の樹立と買収令書の交付の間に十余年の年月のあるときは、農地の事情が変り、その大部分が宅地化されることが必至の場合には、買収令書の交付の時を基準に違法性を判断すべきである。若しこれを買収計画樹立の時とするならば、時の経過、法律の改正等により農地の事情が変り、自作農として土地の利用をなし得なくなつてもなお買収することになり甚しく不合理である。

(2)、新川と国電総武線中山駅ホームにはさまれた小栗原四丁目及び五丁目の地区は市街地となる形体の整つた一区画であり、昭和二十二年の買収計画当時においても幅員四米ないし六米の道路が東西南北に貫通し、北部中部西部において相当数の人家があり、東部においても小栗原小学校敷地は二千坪と九百坪の工場敷地であつたのである。本件農地はいずれも中山駅より三百五十米以内に存するものである。この事情は、買収令書の送達された昭和三十三年十二月十六日当時においては、一層顕著であり、別紙目録第八、第九の農地の北の土地は昭和二十八年までに宅地に転用されて住宅浴場が建設され、同地の南の土地は昭和三十一年から昭和三十三年までに宅地に転用することを許可されており、右目録第六の農地の北部隣接地は昭和三十三年までに宅地に転用することを許可されており、また、昭和三十三年十二月当時においては、本件土地より約一粁のところに京葉道路の工事が着手され、宅地転用は続出し、前記四丁目五丁目の地区においては現状農地は三箇所のみとなつたのである。従つて、別紙目録第一ないし第九の農地は自作農創設特別措置法(以下自創法と略記する)第五条第一項第五号に該当するもので、前記買収処分は無効である。仮りに無効でないとするも取消さるべきものである。

(3)、控訴人が在村地主であるのに不在地主であると誤認して本件農地の買収処分をしたのは無効であるとの原審の主張は撤回する。

二、被控訴代理人は次のとおりのべた。

(1)、行政処分の違法性の判断の基準時については、行政処分の効果発生の時とされているが、農地買収処分は買収計画公告の時となすべきである。けだし、農地買収処分は、買収計画の樹立、その公告その他の手続を経て買収令書の交付によつてなされる。このような処分においては、買収計画が基盤となつており、その公告後は買収対象地等の形質変更が禁止され(自創法第四十二条)、権利関係が変動しても承継人に買収の効果が及ぶ(同法第十一条)とされ、更に、昭和二十年十一月二十三日と買収計画を定める時期の間に、耕作権者の移動、農地の非農地化などがあつたときは、基準時に遡つて買収しうること(同法第六条の二ないし五)から考えると、買収計画公告の時をもつて違法性の判断をなすべきである。このことは、農地法施行法第二条第一項によつて買収令書を交付するときも、異らないのであつて、買収計画公告の時をもつて、違法性の判断をなすべきである。本件においては、別紙目録第一ないし第七の農地については昭和二十二年七月三十日の買収計画の公告の時を、同目録第八、第九の農地については昭和二十三年四月二十六日の買収計画公告の時を基準に考慮すべきで、当時右農地が自創法第五条第一項第五号に当らないことが明らかである。

(2)、仮りに、買収処分の違法性を買収令書交付の時に判断すべきものとするも、本件農地は、四囲の環境上近い将来に非農地化が必至とみられるものでないのである。

三、(証拠省略)

理由

一、成立に争のない乙第一、二号証、公務員が職務上作成したものと認むべきにより真正な公文書と推定すべき乙第三号証、成立に争のない乙第四、五号証、第七ないし第十一号証と原審における証人竹之内昇、同田久保岩蔵、同高橋敬一の各証言によれば、次の事実を認めることができる。すなわち

(1)、船橋市農地委員会が、昭和二十二年七月七日控訴人所有の別紙目録第一ないし第七の農地につき、不在地主の所有する小作地として、買収時期を同年十月二日とする買収計画を樹立し、同年七月三十日これを公告するとともに、同日船橋市海神町北一丁目二百八番地山中喜見代宛郵便により控訴人に通知したが、その郵便が到達せず返戻されたこと、右買収計画書を同年八月二日から同月十二日まで船橋市役所において縦覧せしめたが、控訴人から異議或は訴願がなくて所定期間を経過したこと、その頃右計画につき千葉県農地委員会の承認があつて、千葉県知事が同年十月二日買収令書を発行したこと、その後千葉県知事が昭和二十五年二月二十八日千葉県報に、買収した農地の所有者の所在不明その他により買収令書を交付できないとして、買収令書の交付に代えて所定の事項を公告したこと。

(2)、船橋市農地委員会は昭和二十三年四月二十六日控訴人所有の前記目録第八、第九の農地につき、不在地主の所有する小作地として、買収時期を同年七月二日とする買収計画を樹立し、これを同年四月二十六日公告するとともに、同年五月八日頃前同様の宛名の郵便で控訴人に通知したが、配達不能として返戻されたこと、右農地委員会が右計画書を同年五月十日から二十日まで船橋市役所において縦覧せしめたが、控訴人から異議或は訴願がなくて所定期間を経過したこと、その頃右買収計画につき千葉県農地委員会の承認があつたので、千葉県知事は昭和二十三年七月二日買収令書を発行したこと、その後千葉県知事が昭和二十五年二月十三日千葉県報に、買収した農地の所有者の所在不明その他により買収令書を交付できないとして、買収令書の交付に代えて所定の事項を公告したこと。

を認めることができるが、控訴人がその頃各買収令書を受領したことは、乙第六号証、前記証人竹之内昇の証言を除いて、これを認めるに足る証拠はなく、他に右認定を左右するに足る証拠がない。右乙第六号証は成立の証明なく、その記載の体裁からみて、日付もなく未成年の控訴人の氏名捺印であり、原審証人山中み弥の証言と併せ考えると信用し難く、これを採用できない。また、前記証人竹之内昇の証言中には、買収令書を控訴人の父松右衛門の住所に送つたとの供述があるが、前記証拠に照らし措信し難い。もつとも乙第十六号証の一ないし七、甲第十七、十八号証の各一、二によれば、山中松右衛門が昭和二十五年七月二十日知事の証明書を得同月二十三日供託代理人の確認証を得、同月二十四日印鑑証明及び戸籍謄本の交付を受けて、同日供託物還付請求をなして前記目録第一ないし第七の農地の買収代金のうち金六千円の農地証券は受領せず内金八百六十四円四十銭を受領したように見えるが、原審における証人山中松右衛門の証言によると四角の山中なる印は他人のものと認められ、従つて七月二十日交付された知事の前記証明書が右山中に交付されたか疑わしく、従つて乙第十六号証の一及び三も右山中或はその意を受けたものが作成して買収代金を受領したか疑わしいし、原審における証人斎藤真の証言によるもこれらの点を明らかにし得ないで、右証拠によつては前記買収令書の交付ないしこれを控訴人において承知していた事実を認めるに由なく、また、これらをもつて前認定を左右するに由ない。

よつて、被控訴人が買収令書の交付に代えて千葉県報に公告した効力につき案ずるに、原審証人竹之内昇の証言によれば、船橋市農地委員会は控訴人の住所を市川市鬼高千二百四十番地の父山中松右衛門方であると認めていたことが明らかであるので、かような場合は自創法第九条第一項但書にいう「農地の所有者が知れないとき、その他令書の交付をすることができないとき」に当らないので、前記公告は違法であつて、買収令書の交付に代える効力を生じないものと解するほかない。

進んで、被控訴人の予備的主張につき案ずるに、農地法施行法第二条第一項第一号によれば、市町村農地委員会が買収計画を樹立しその旨公告した買収計画に係る農地については、昭和二十七年七月十五日公布の農地法の施行の時までに、買収の効力が生じない時は、なお従前の例により買収するものとするというのであるので、これは、右買収についてはなお自創法の適用のあることを言い現わしているものと解せられるのである。従つて、買収計画の公告のなされた後の手続については、適法になされたものはなおその効力を持続し、不適法になされた手続或はなされなかつた手続を続いてなしうるものと解せられるのである。また、本件の如く、一旦買収令書の交付に代えて県報に公告したが、公告の効力に疑のあるときは、その効力のないものとして前記規定による買収令書の交付をなしうるものである。これは、前処分の効力のないものとして後処分をなすものであるから、行政処分を二重にしたことにはならない。また、前処分を効力のないものとして後の処分をなしても、前の処分を取消したことにはならない。これらは、争になれば裁判所が確定すべきことであり、被控訴人としては、前処分が効力がないので後の処分をしたこととなるので、控訴人のいうような違法な点はない。また、前記法条は買収処分の瑕疵を補正してこれらを有効ならしめんとする趣旨も含むものと解せられるので、甚しくおくれて補正することは適正を欠くとはいえ、権利濫用というには当らなく、この点の控訴人の主張は採用し難い。然らば、被控訴人は前記法条に従つて適法に手続を進めうるところ、被控訴人が昭和三十三年十二月十七日その主張の如く控訴人に買収令書を交付したことは、当事者間に争がないので、結局本件買収処分につき買収令書の交付があつたこととなり、これによつて本件買収処分はその効力を生じたものである。

二、控訴人は、前記買収処分には、買収計画の樹立、公告、縦覧の手続がなされていないと主張し、また、買収令書の交付がないと主張するが、いづれも前認定のとおり、その手続がなされ、買収令書が交付されているので、この点の控訴人の主張は理由がない。

三、更に、控訴人は、本件農地は自創法第五条第一項第五号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当すると主張する。よつて案ずるに、行政処分の当否の判断は、行政処分の効力の発生の時を基準としてなすべきであつて、これは農地の買収処分のように買収計画の樹立、その公告その他の手続を経て買収令書の交付によつて完結する一連の手続によつてなされる行政処分についても同様である。けだし、農地の買収処分においては、買収即ち国が農地の所有権を取得することが窮極の目的であつて、買収計画の樹立その公告などは、単にその前提となる手続にすぎないからである。従つて、本件においては、前記買収令書の交付の昭和三十三年十二月十七日に、買収処分の効力を生ずるをもつて、その時を基準に本件農地の買収処分の効力を判断すべく、控訴人の右主張も右日時を基準に判断すべきである。若し、そうでなくて、買収計画の樹立又はその公告の時に、これを判断すべきものとするときは、当時においては買収することが適法であつても、事情の変化によつて自作農創設のために買収することが、その目的を達しない事情となつても、なお買収する結果となり、これは、自創法の目的を達せしめないのみならず、買収計画の樹立又はその公告後の手続を全く無意味のものとする結果となり、不合理といわねばならない。なるほど自創法には被控訴人の主張するような規定があるが、これらは、買収に支障を来すことを防ぐものではあるが、自然に事情の変化することをも認めない趣旨ではないので、この点の被控訴人の主張を採用することができない。しかして、原審証人山中松右衛門の証言(第二回)と当審証人高橋敬一、同富川次郎作、同石井富蔵、同久保田比佐士の各証言と当審及び原審における検証の結果を綜合すれば、次の事実を認めることができる。すなわち、

(1)、別紙目録第八、第九の農地は、国電総武線中山駅ホームより約百五十米の点にあり、昭和二十三年四月の買収計画樹立の当時においては、塵捨場同様となつていたが、その後一部は池状となり残り地を石井富蔵が耕作して来たこと、その当時においては駅までの間は農地と荒地であり、本件土地の南に連なる土地も一面の農地であつたが、これらの土地は漸次宅地化されるに至り、昭和三十三年十二月当時においては、右第八、第九の農地は従前通り石井富蔵が耕作していたが、道路を距てて北に隣りする三百二番地の一の土地は昭和三十二年七月宅地転用の許可があり昭和三十三年八月には桔梗湯が建築され、その北に隣りする三百三番地の三及び四の土地は、すでに昭和二十八年中に宅地に転用されており、また、本件土地の南に隣接する土地は十七件にわたり昭和三十四年二月から昭和三十八年頃までの間に宅地に転用されていること。

(2)、別紙目録第六の農地は、国電総武線中山駅の東側踏切から約二百米の地点にあり、買収計画樹立の昭和二十二年十月当時においては、本件農地の北方に農家一軒、道路を距てて西に接する現に小栗原小学校の敷地の一部が工場跡地として荒地となつていたほかは、本件農地の附近一帯は一面の農地であつたが昭和三十三年十二月当時においては、昭和二十八年に小栗原小学校が建設され、本件農地は道路を距ててその正門に近いところにあり、本件農地の北に隣接する四百三十五番地の土地は昭和三十三年八月までに宅地に転用されて文房具店が存在し、その北の四百三十四番地の一は農地であり、その北の四百三十三番地の一は昭和三十一年、四百三十三番地の三は昭和三十二年七月いづれも宅地に転用され、これらの土地の北に隣接する四百三十二番地の一、四百三十一番地の一の土地も昭和三十二、三年頃に宅地に転用され、本件農地の北側一帯は殆ど宅地化して来ており、本件農地の南に隣接する四百三十七番地の土地は昭和三十六年二月頃宅地に転用されるに至つたこと、本件農地の西に接する前記道路は行徳街道とよばれ、幅員五米、交通便にしてこれに接する農地の宅地化の一因となつていること。

(3)、船橋市農業委員会も、昭和三十三年十二月当時においては、本件農地の南に存する新川より以北に存する小栗原四丁目 五丁目の農地については宅地転用を許可する方針であり、また、中山駅より三百米ないし五百米の農地については買収しても売渡をしない方針であつたこと。

を認めることができ、右認定を左右するに足る証拠がない。

右事実によれば、別紙目録第六、第八、第九の農地については、昭和三十三年十二月当時においては、自創法第五条第一項第五号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」と認めることが相当である。しかしながら、前記証拠によれば、右目録第一ないし第五及び第七の農地については、昭和三十三年十二月当時は、その隣接地はいづれも農地で、直には、宅地転用を予想し得ない事情にあつたことを認めうべく、他に右農地が昭和三十三年十二月当時「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」となす事情を認めるに足る証拠がない。

しかして、近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地については、市町村農地委員会又は都道府県農地委員会がこれを指定してはじめて、政府はこれを買収しえないものである。しかしながら、すでに使用目的を変更することを相当とする農地につき、殊更に指定することをさけ、これを買収することの不当であることは勿論、農地委員会の認定のみに左右され買収されることも、また不当というべきであるので、実質的に使用目的を変更することを相当とする農地については、前記指定がなくとも、これを買収することは、自創法第六条第一項第六号に違反するものと解すべきである。然らば、本件買収処分中前記第六、第八、第九の農地の買収処分は、右規定に違反し、瑕疵あるものといわねばならない。この瑕疵は、前認定の事情を併せ考えると、必ずしも重大かつ明白とは言い難いので、右買収処分を当然無効のものとなすに由なく、しかしこれは治癒し得ないものであるので買収処分取消の理由となるものと解せられるのである。しかして、控訴人は買収処分の無効確認を請求しているが、この請求中には取消の請求も含まれているものと解すべく、また、控訴人が無効確認又は取消を求めている買収処分は、本件訴訟中にその効力を生じたものであることが、当裁判所に顕著な事実であるので、取消訴訟としての訴願前置、訴の提起期間を考慮する余地なく、取消の請求は適法になされたものと解せねばならない。よつて、本件買収処分中前記第六、第八、第九の農地に関する部分は、前記瑕疵によつてこれを取消すを相当とすべく、その余の控訴人の主張は理由がない。

四、控訴人は、その主張の売渡処分及び交換処分の無効確認を求めているのであるが、控訴人はこれらの処分に直接の関係を有するものでなく、仮りにその主張の如く認容されても控訴人が直接法律上の利益をうるものでないことは、控訴人の主張自体により明らかであるので、控訴人は右訴訟につき確認の利益を有しないものというほかないので、これらの訴は却下すべきものというべきである。

五、然らば、控訴人の請求中その主張の売渡処分及び交換処分の無効確認の部分は訴を却下し、別紙目録第六、第八、第九の農地についての控訴人主張の買収処分はこれを取消し、その余の控訴人の請求は理由のないものとして棄却すべきものであるので、これと異る原判決は、右範囲において取消を免れえないものである。よつて、控訴人の控訴を右範囲において理由ありとし、原判決を右範囲に変更し、附帯控訴費用を除くその余の第一、二審の訴訟費用につき民事訴訟法第九十二条第九十六条を適用し、被控訴人の附帯控訴を理由なしとして棄却し、附帯控訴の費用につき同法第八十九条第九十五条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 千種達夫 脇屋寿夫 渡辺一雄)

(別紙)

目録

第一、船橋市小栗原町四丁目二九三番の一

一、田、一反四歩   内畦畔四歩

第二、同市同町四丁目二九四番の一

一、田、九畝一三歩  内畦畔四歩

第三、同市同町五丁目二九五番の一

一、田、九畝二九歩

第四、同市同町五丁目二九六番の一

一、田、一反四歩

第五、同市同町五丁目二九七番の一

一、田、一反四歩

第六、同市同町五丁目四三六番地の一

一、田、一反五歩  内畦畔一〇歩

第七、同市同町五丁目五八九番の一

一、田、一反八歩  内畦畔一〇歩

第八、同市同町五丁目三〇一番の三

一、畑、六畝四歩

(右第八の土地が買収令書には三〇一番の一田六畝四歩と記載せられており、後に分筆により右のとおり表示せられるに至つたことは、当事者間に争がない)

第九、同市同町五丁目三〇一番の一

一、畑四畝歩

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